結論(先に知りたい方へ)

購入したしじみに、生産者・販売者自身の処理方法の案内が付いている場合は、そちらを優先してください。 案内がない場合は、塩水に入れて暗所に数時間置くという方法が、複数の情報源で紹介されています。ただし、塩分濃度や時間の目安には、情報源によって差があります。

家庭でのしじみの砂抜きについて、公的・学術的に統一された塩分濃度・時間の基準は、今回確認できませんでした。「砂抜きは○%の塩水で○時間」という情報はネット上に数多くありますが、情報源によって数値が異なります。この記事では、唯一の正解を示すのではなく、実際に生産者や食品メディアが紹介している方法を比較したうえで、目安として紹介します。

なお、貝毒や鮮度の見分け方など、食べる前の安全性に関わる内容はこの記事では扱いません。「しじみの安全性」のページをご覧ください。


購入したしじみの砂抜き方法(基本編)

今回確認した複数の情報源では、スーパーや鮮魚店、通販で買ったしじみについて、真水ではなく塩水を使う方法が紹介されていました。「真水だと浸透圧の関係で旨味成分も外に出てしまう」という説明が、複数の生産者系サイトで共通して見られました。ただし、この説明自体を直接検証した学術研究は確認できていません。

塩分濃度・時間の目安(情報源ごとの比較)

今回確認した3つの情報源では、以下のような目安が紹介されています。学術的に検証された「正解」ではなく、それぞれの情報源が個別に紹介している目安としてご覧ください。

情報源 発信元の性質 塩分濃度の目安 時間の目安
宍道湖漁業協同組合(shinjiko-shijimi.com) 産地の漁業協同組合 約1%(水1Lに塩10g) 6時間程度
macaroni(調理師監修) 料理メディア 0.5%(水1Lに塩5g) 夏場3時間・冬場4時間目安
くふうトクバイニュース(管理栄養士監修) 食品メディアの検証記事 0.3%(水600mlに塩2g) 夏3〜4時間・冬4〜5時間

確認した3つの情報源だけでも、濃度・時間の目安には差があります。どの数値が対象にしているしじみの状態(産地・季節・個体差など)によるものかは分からなかったため、理由を推測して説明することはしません。購入したしじみに生産者・販売者自身の案内がない場合は、上記のいずれかを参考にしてください。

砂抜きをうまく行うための工夫

今回確認した複数の情報源で共通して紹介されていた工夫です。学術的に効果が検証された事実ではなく、実務上の知恵としての紹介です。

  • 貝が重ならないように広げる:バットやざるに、しじみが重ならないように並べる
  • 暗くする:アルミホイルや新聞紙などで覆い、光を遮る
  • 吐いた砂を再び吸い込ませない:ざるを容器の底から浮かせて、吐き出した砂やゴミが下に落ちるようにする

気温による置き場所の目安

今回確認した情報源(macaroni等)では、気温が高い時期は冷蔵庫、涼しい時期は冷暗所でも可、という趣旨の説明が見られました。ただし、温度と品質・生存率の関係を定量的に示した公的資料・学術資料は確認できていません。


では、矢作古川の近くで暮らす我が家では実際にどうしているか

ここまでは、購入したしじみ向けの一般的な方法として紹介しました。ここから先は、「三河の食卓」を運営する私自身が、矢作古川の近くで実際にやっている砂抜きの方法です。上の「基本編」とは前提が異なる、あくまで一つの家庭のやり方として読んでください。一般的に推奨される方法でも、科学的に最適な方法でも、安全性が保証された方法でもありません。

しじみを採って帰るときは、貝だけを持ち帰るわけではありません。その場で汲んだ川の水も一緒に、ペットボトルに1〜4リットルほど入れて持ち帰ります。この川の水を使うのが、我が家の砂抜きの前提になっています。手順はだいたいこんな感じです。

  1. 平たい容器に籠を置く
  2. しじみを水道水でざっと洗い、籠に入れる
  3. しじみが浸る程度まで、持ち帰った川の水を入れる
  4. 容器を覆って暗所に置く(量が少ないときは冷蔵庫に入れることもある)
  5. 2〜3時間ほど置いたら籠を上げて水を捨てる
  6. 吐いた砂や泥が殻についているので、もう一度水道水で洗う
  7. 新しい川の水で、再び1時間ほど砂抜きする
  8. 取り出して水道水で洗い、ネットに入れて殻同士をこすり合わせるように洗う(表面の汚れが落ちやすい)
  9. 籠やざるに上げて30分ほど置いてから調理する
  10. 保存するときは、ジップロック等に入れて冷凍している

川の水を使うことについて

我が家では採取場所の川の水を砂抜きに使っていますが、水質の分からない自然水の使用を、一般におすすめするものではありません。

農林水産省が公表している調査では、全国の農業用水・河川水を対象に、ふん便汚染の指標となる大腸菌などの検出状況を調べたところ、多くの検体から検出されたという結果が報告されています(農林水産省「農業用水及び河川水の有害微生物の汚染状況調査」、確認日2026年9月14日)。この調査は矢作古川そのものを対象にしたものではなく、「矢作古川の水が危険である」ことを示すものではありません。 ただ、河川水には目に見えない微生物が含まれ得るという一般的な性質があることは、公的な調査からも確認できます。

そのため、他の場所で採ったしじみに、水質の分からない川の水をそのまま使うことは、私たちからおすすめはしていません。購入したしじみについては、上記の「基本編」の方法をご参考にしてください。


安全性についても、あわせて確認したい方へ

死んでいる個体の見分け方や貝毒に関する情報など、食べる前の安全性に関わる内容は、この記事では判断していません。食べる前の安全性が気になる方はこちら。

→ 「しじみを安全に食べるために知っておきたいこと」

次に読みたい記事

すぐに食べない場合は、しじみの保存方法(冷凍・冷蔵)へ。

砂抜き後、そのまま食べるなら、我が家で食べている、しじみ味噌汁へ。

→ このサイトが、しじみから始まった理由


情報源・確認日

  • 中村幹雄・安木茂・高橋文子・品川明・中尾繁(1996)「ヤマトシジミの塩分耐性」水産増殖 44巻1号, 31-35頁。https://www.jstage.jst.go.jp/article/aquaculturesci1953/44/1/44_1_31/_article/-char/ja/ / 確認日: 2026年8月26日 / 対象地域: 島根県(宍道湖産)
  • 多賀ほか(2022)「塩分変化がヤマトシジミ成貝の潜砂行動に与える影響」水産研究・教育機構。https://www.fra.go.jp/home/kenkyushokai/ronbun/2022/20220123.html / 確認日: 2026年8月26日
  • 宍道湖漁業協同組合(shinjiko-shijimi.com) https://shinjiko-shijimi.com/sunanuki / 確認日: 2026年8月26日
  • macaroni「しじみの砂抜き方法とコツ」 https://macaro-ni.jp/54000 / 確認日: 2026年8月26日
  • くふうトクバイニュース「しじみの砂抜きの正解は〜」 https://tokubai.co.jp/news/articles/6207 / 確認日: 2026年8月26日
  • 農林水産省「農業用水及び河川水の有害微生物の汚染状況調査」 https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/kome/k_yasai/kekka/river.html / 確認日: 2026年9月14日 / 対象地域: 全国7河川(矢作古川は調査対象に含まれていません)

この記事の内容は、上記確認日時点の情報です。 食べる前の安全性に関する内容は「しじみの安全性」のページをご確認ください。